浜松市の図書館をよく利用しますが
音楽、生産、地域(ローカル)の各コーナーに
ピアノに関連する本が点在しています。
なかでもずっと気になっていた本があります。

画像の一番上
楽器王 河合小市
著者:山本巴水(明治28年西暦1895年愛知県生まれ)
発行者:河合滋
発行所:株式会社カワイ楽譜
昭和32年11月15日発行
定価百弐拾円也←※こう記載されている
※読みはじめしばらくのツボポイント
舶来のオルガンの音が出なくなり直せる人を探すシーン
ページは茶色に変色していて
歴史を感じる一冊。
大型連休に読むぞ、と決心して借りました。
喜三郎さん、というのはのちに寅楠が自主制作したオルガンを寅楠と天秤棒で担いで箱根越えをした河合喜三郎です。
本作品は著者の山本巴水さんが河合小市に直に取材していて
取材は小市が亡くなる数か月前に河合楽器の社長室で行われたようです。
(ちなみに亡くなる寸前の状況は画像の上から2冊目
河合小市からEXへ~発行所:株式会社河合楽器製作所
にドラマチックに描かれていました。)
山本巴水さんは小市が亡くなったあと
約2年間全国を取材に奔走したようです。
そして驚くことにこの本は再取材して再び書かれた作品でした。
前作
響は河合より 河合小市伝
”響は河合より”はネット検索してもみつかりませんでした。
”楽器王・・・”のあとがきに
”響は・・・”は昭和8年の作品と記載があるので
2023年現在からちょうど90年前・・・
河合小市が47歳、ヤマハを出て6年後、、、
山本巴水さんが30代と60代で小市のことを書くとは
人間ドラマとして非常に興味深いものがあったのでしょう。
山本巴水さん、他にも気になる著書が3冊↓
楽器の創始山葉寅楠(山葉寅楠伝)
宮本甚七伝
明石為次伝
どれも面白そうな本なのに、古すぎてネットに情報が存在していません。
企業の資料室とかには保管されているんでしょうかね??
借りてきた本がどれも面白かったのでまた紹介したいのですが
こんなにおもしろい作品を執筆した山本巴水さんを
私はもっとたくさんの人に知ってほしいなぁ~

音楽、生産、地域(ローカル)の各コーナーに
ピアノに関連する本が点在しています。
なかでもずっと気になっていた本があります。

画像の一番上
楽器王 河合小市
著者:山本巴水(明治28年西暦1895年愛知県生まれ)
発行者:河合滋
発行所:株式会社カワイ楽譜
昭和32年11月15日発行
定価百弐拾円也←※こう記載されている
※読みはじめしばらくのツボポイント
舶来のオルガンの音が出なくなり直せる人を探すシーン
「といってお前さんに断られたんじゃ私も他に考えようがない。見るだけでも一度見てくれないかね」
「だめでさあ。なまじっか見ねえほうがましですぜ、できっこねぇんだからね」
林治郎さんも、喜三郎さんもお茶がつめたくなるまで考えこんでいたが、しばらくしていきなり喜三郎さんがぽんと膝をたたいた、
「うまいことがある」
その勢で喜三郎さんのほっぺたにさっきからとまってぐみのように血を吸っていた蚊が二匹もぽとぽと畳に落ちた。
いっしょうけんめいに考えこんでいて気がつかなかったのである。
「何かうまいことというのは」
「旦那もご存知でしょう。紀州から来た山葉という人が福島先生のところの医療器械をなおしたという話を聞いているから、舶来の器械を直すぐらいだからその山葉という人に相談かけたら、山葉がいればいいが、この人なら直すと思う。うってつけですぜこんな仕事には・・・・・」
林治郎さんがさすがにうれしくなって二人はもうオルガンが直ると決まったかのように朗らかになった。
「しかしその山葉さんとかいう人は大丈夫かね。何しろ大事なものを頼むのだから」
「私もその山葉さんは二三回会っていますが、言葉は土地の手形とかってね、なまり具合じゃあ大阪近くの人だが、無口な礼儀正しい人のようですぜ。何より仕事熱心だね、あたしや、あんな人は見たことがないね、しっかりした人ですよ」
林治郎さんは急に寅楠がなつかしくなってきた。翌日早速浜松病院長の福島先生に相談かけて、山葉さんに会うこととなって板屋町の清水屋という木賃宿に宿っている山葉さんを林治郎さんは鬼の首でもとったように喜び勇んで訪ねていった。
”楽器王河合小市”P.14~より
ページは茶色に変色していて
歴史を感じる一冊。
大型連休に読むぞ、と決心して借りました。
喜三郎さん、というのはのちに寅楠が自主制作したオルガンを寅楠と天秤棒で担いで箱根越えをした河合喜三郎です。
本作品は著者の山本巴水さんが河合小市に直に取材していて
取材は小市が亡くなる数か月前に河合楽器の社長室で行われたようです。
(ちなみに亡くなる寸前の状況は画像の上から2冊目
河合小市からEXへ~発行所:株式会社河合楽器製作所
にドラマチックに描かれていました。)
山本巴水さんは小市が亡くなったあと
約2年間全国を取材に奔走したようです。
そして驚くことにこの本は再取材して再び書かれた作品でした。
前作
響は河合より 河合小市伝
”響は河合より”はネット検索してもみつかりませんでした。
”楽器王・・・”のあとがきに
”響は・・・”は昭和8年の作品と記載があるので
2023年現在からちょうど90年前・・・

河合小市が47歳、ヤマハを出て6年後、、、

山本巴水さんが30代と60代で小市のことを書くとは
人間ドラマとして非常に興味深いものがあったのでしょう。
山本巴水さん、他にも気になる著書が3冊↓
楽器の創始山葉寅楠(山葉寅楠伝)
宮本甚七伝
宮本甚七・・・日本形染株式会社創業者
1898(明治31)年日本楽器製造株式会社創立の翌年、甚七は会社の取締役となり、その後30年余重役として務めた。
浜松情報BOOKより
明石為次伝
明石為次・・・明石石油の創業者、初代爲次の祖先は、徳川四天王の一人であった岡崎城主本多忠勝公の家臣を代々務めておりました。初代爲次は、明石範貞の次男としてこの世に生まれ、日本形染に染料を納めたのがきっかけで、染料商を始めました。これが明石石油の前身です。
明石石油株式会社ホームページより
どれも面白そうな本なのに、古すぎてネットに情報が存在していません。
企業の資料室とかには保管されているんでしょうかね??
借りてきた本がどれも面白かったのでまた紹介したいのですが
こんなにおもしろい作品を執筆した山本巴水さんを
私はもっとたくさんの人に知ってほしいなぁ~
